- はじめて国勢調査員になって不安な人
- 国勢調査員に興味がある人
- 国勢調査に興味がある人
はじめに
「国勢調査」というものをご存知でしょうか。5年に一度行われる公的な調査で国や地方公共団体が公正かつ効率的に行政を行うために行われます。
いわゆる基幹統計調査の1つということです。その調査の一翼を担うのが国勢調査員です。実はYoH坊 よーぼー、大学生の時に国勢調査員をやっていました。
そこで今回は国勢調査員の体験記について記事にしてみます。
国勢調査とは
そもそも「国勢調査」とは何なのかというところからはじめましょう。国勢調査の目的は国内の人口・世帯の実態を把握し、各種行政施策その他の基礎資料を得ることです。これ以上は文章にすると長くなりそうなのでポイントをまとめてみました。
【目的】
国内人口・世帯の実態を把握し、各種行政政策その他の基礎資料を得ること
【調査頻度】
5年に1度
(末尾が0と5の年に行われる。前者の年は大規模調査、後者の年は簡易調査)
【調査期日】
10月01日
【調査対象】
調査年の10月01日に日本国内にふだん住んでいるすべての人(外国人を含む)及び世帯が対象(全数調査)
【調査事項】
大きく分けて「世帯員について」と「世帯について」の2つが調査事項
(令和2年の具体的な調査事項はのちほど)
【結果】
総務省統計局のHPや図書館などで見ることが可能
基本的には行政を行うための基礎資料としての意味合いが強いですが、全数調査である(精度が標本調査より高い)ので大学などの研究機関で研究のための基礎資料になることもあります。
令和2年の社会調査の調査事項
大規模調査(19項目) | |
世帯員に関する事項 |
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世帯に関する事項 |
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以上が令和2年の国勢調査の調査事項のようです。簡易調査の時はこの中からいくつかの事項が減ります。
国勢調査員の仕事
やっと本題です。国勢調査員の仕事について
- 調査員説明会
- 担当している地域の確認
- 調査についての説明と調査書類の配布
- 回答確認リーフレットの配布と調査票の回収
- 調査票の整理と提出
調査説明会
すべての国勢調査員が社会調査について学んでいるとは限らないので、市役所で行われる調査説明会で調査の方法、調査の倫理などに関するビデオを視聴して最低限の調査に関する知識を身につけることになります。(08月下旬)
担当している地域の確認
調査担当区の書かれた文書と地図を頼りに、調査担当地区に臨場します。5年ごとの調査なので名簿や地図が調査時の状況と食い違っていることがあるので、その修正を行います。(09月上旬)
調査についての説明と調査書類の配布
名簿と地図の修正が終わったら、ついに調査書類の配布です。調査書類は原則手渡しをして、調査に関する説明を行います。確か何回か調査対象者に訪問して不在の場合は、書類とメモを置いておくことになると思います。(09月中旬)
回答確認リーフレットの配布と調査票の回収
あらかじめどのような方法で調査書類を回収するかを調査対象者と相談しておきます。直接回収を希望する調査対象者には都合の良い日時を確認してメモします。その後、約束した日時に調査票を回収します。(10月上旬)
調査票の整理と提出
調査票の整理に関しては手引きがあるので、それに従って整理します。その後、間違い等がないかをチェックして市役所のまとめ役に提出で終わりです。(10月中旬)
調査で大変だったこと
調査で大変だと感じたところは主に3点です。ここからは参考程度で読んでください。
- 何度か訪問しても不在
- 直接回収のスケジューリング
- イレギュラーが発生して対応に困る
何度か訪問しても不在
これは国勢調査員あるあるだと思いますが、「何度か訪問しても不在」ということがあります。
メモを入れようにも郵便受けがいっぱいで住んでるのかさえ怪しいという時もありました。これはまとめ役の市役所職員に相談案件です。
直接回収のスケジューリング
徒歩で回収する場合は、移動時間が割と掛かったりするので少しゆとりのあるスケジュールにしたほうが良いです。でないと私のように走る羽目になるかもしれません。
イレギュラーが発生して対応に困る
長期出張や赴任とかで09月、10月中に調査対象者がいないということもありえます。これもまとめ役の市役所職員に相談案件です。
これが正直、一番対応に困ります。私の場合は、幸いにも近所の方が教えてくださったこともあり早い段階でまとめ役に相談してどうにかなりました。
調査員になって良かったこと
調査員になって良かったことは3つです。
- 社会貢献になる
- 社会調査の経験が積める
- 国勢調査に関する知識の再確認になる
社会貢献になる
はっきり言って国勢調査員は拘束される時間の割に報酬が安いです。ただ、国をあげての調査なので(全数調査ができるくらいには)しっかりと予算をかけている調査なのでそれに携わるというのは社会貢献をしていると言えるでしょう。
社会調査の経験が積める
私は社会学を専攻していましたので、社会調査を含んだ卒論を執筆する可能性がありました。
その時の社会調査に1つでも役立てば良いなという気持ちで国勢調査員に応募しました。
そこで得られたのは社会調査に関するメンタルが鍛えられたということです。
国勢調査に関する知識の再確認になる
令和2年で国勢調査は100年目らしいですが、一般人からするとそんな馴染み深いものではないようなのか詳しく説明を求められることが数回ありました。
社会調査士科目で国勢調査についても勉強しましたが、実際に調査に携わると理解度が進みます。
おわりに
コロナの影響なのか募集しても人員が集まらないようで経験者に電話が掛かってきているようです。時間に余裕がある方で興味を持った方はぜひ応募してみてください。
私は人に対して「調査に協力した方が良い」とはあまり言いません。調査に協力するか否かはあくまで自由ですから。
ただし、5年に1度行われる国勢調査だけは調査に協力した方が良いです。何故ならば、とても貴重な全数調査だからです。
そもそも量的な調査というのは大雑把に分けると全数調査と標本調査に分かれます。前者はその名のとおり母集団をすべてを調査対象にするという調査です。
後者は母集団から標本を抽出して(抽出方法は調査によって異なります)調査して、母集団の性質を推定するというものです。
標本誤差がない分、前者の方がデータの精度は高いです。しかしながら、費用・時間のコストがとても高いのです。そのため、量的な「調査」といえば基本的には標本調査なのです。
前回の調査からインターネットを介した回答もできるようになっているので調査対象者の負担も減ってきています。
正確なデータが取れればそれだけ効率的な公共サービスを享受することができるようになるでしょうから出来るだけ協力するようにしましょう。
ちなみに基幹統計調査を拒否したり、質問票に虚偽の内容を書くことは統計法61条に抵触する可能性がありますので注意です。

ちなみに国勢調査員になるとこんなのが貰えます。5年に1度しか募集がないし、何より国勢調査期間に時間がないとゲットできないのでレア(しかも総務大臣名付き)ではないかとか考えてしまうのが資格マニアのクレイジーなところ。時間に余裕のある資格マニアの方はぜひ。
国勢調査員に興味を持った方、やってみたいよと思った方はこちらから
では今回はこの辺で。ちゃーおo(^▽^)ノシ